生かせ高度人材:優秀な留学生を中小企業に呼び込む(2回目)

生かせ高度人材:優秀な留学生を中小企業に呼び込む(2回目)

2021年6月6日 オフ 投稿者: なかさん本舗代表 中本寧

(1回目はこちら)

皆さんこんにちは!
今月も如何に優秀な留学生を呼び込むかについて一緒に考えたいと思います。


先ずは前回のおさらいです。留学生と企業の間には以下の4つのギャップがありそれが優秀な留学生の採用を難しくしているのでしたね。

  1. 情報
  2. 日本語
  3. 文化・コミュニケーション
  4. キャリア観

それではこれらのギャップを如何に解消していったら良いでしょうか?
以下の4つを意識して彼らを迎える「環境」作りに取りかかりましょう。

1.情報発信

留学生の採用目的と育成方針を改めて徹底的に考え“言葉”にします。
つまり留学生に何を期待するのか、入社後どのような仕事をお願いし、どのように育てていくかを徹底的に考えます。
先ずは“彼らの母国でのビジネス拡大”、“インバウンド需要の取り込み”、それとも“自社の企業風土を変えるための起爆剤”など採用目的を“明確”にして“言葉”にすることが大事です。
それを分かりやすく彼らがよく見る動画サイトやSNSを通じて発信、就活前の留学生を受け容れる機会を作り彼らのニーズを把握します。
そこでしっかりと信頼関係を作る事で情報のギャップを減らす事ができます。

2.相互理解の“場”作り

ギャップの中で最も大きな“言葉の壁”を低くするため、社員に“やさしい日本語”を使った“伝え方・聴き方”研修を行います。
留学生には“職場での伝え方”に関するインターンシップを実施し、お互いが同じ目線で会話できる“場”を作ります。この“場”を通して彼らのキャリア観を形成する文化、コミュニケーションを理解することが大事です。
例えば中国は日本と同じ漢字を使い、儒教や仏教といった同じ文化的背景を持っているので日本の文化も理解しやすいのではないかと考える人は多いと思います。また近年経済発展が進み、日本と変わらない子供時代を過ごしているというイメージも有るかも知れません。
それは、半分は正解で、半分は不正解になります。
最近でこそ若干マイルドになりましたが、自分の意見をはっきり主張するのが中国人同士のコミュニケーションです。
自分の実績についても堂々と示しそれに対して明確な評価を求めます。
中国は日本以上の競争社会です。
彼らは将来の競争に勝ち抜くために日本人の子供以上に勉強します。小学校に上がる前には漢詩を200首暗記しているのは当たり前、そして高校を卒業し大学に入るための“高考”と言う試験に臨みます。これは日本のセンター試験に似ていますが、中国の大学の入試はこれだけの一発勝負です。AOや推薦はほとんどありません。まさに現代の科挙と言って良いかも知れません。
大学入学後も学生のほとんどは寮生活を行い、朝早くから夜遅くまで勉強に明け暮れます。
自身の専門性を磨き、卒業後はそれを元に就職し、転職を繰り返しながら専門性をあげていくことでキャリアアップを図っていきます。
この背景が分かればなぜ彼らがこれほど成長を急ぐのかが分かります。
このように相互理解を進めることで“外国人社員が自社の文化に合わせる”でなく、彼らにとって何が“障害”なのかを理解し、それを解消することによって、彼らが“どの様に”力を発揮できるかを考え、双方のキャリア観を尊重できる環境を作っていきます。

3.仕事開発

「1.情報発信」の項で明確化した「採用目的・育成方針」及び「2.相互理解の“場”作り」を通して理解した双方の「キャリア観」に基づいて外国人社員が“自国のアイデンティティと日本の経験を生かせる仕事”の開発を行い、留学生そして社内に説明します。
これにより双方の入社前と入社後のギャップを少なくすることができます。

4.個別支援

留学生は入社後アウェー状態になり、言葉・文化・仕事のプレッシャーが大きくのしかかります。
個別の面談を通してしっかり寄り添いましょう。
より“傾聴”の気持ちを持ち、時間をかけて話を聞きます。
もう一つ注意したいのは彼らの上司となった日本人管理職のサポートです。
こちらもプレッシャーがかかります。
“言っていることが通じない”、“何を考えているか分からない”、“どのように指導して良いか分からない”など一人で抱え込む方も多いです。
お任せするのではなく組織全体でサポートすることが大事です。
それがいずれ会社としてのノウハウとして積み重なっていきます。

来月はこういった取り組みを拡大し地域の企業全体で優秀な学生を呼び込む取り組みについて見ていきたいと思います。
お楽しみに!!!
(この稿おわり)