概要判明 事業再構築補助金

概要判明 事業再構築補助金

2021年3月21日 オフ 投稿者: Hill Andon

注目されていた大型補助金「事業再構築補助金」(予算規模1兆1,485億円)の「概要」がリリースされました。https://www.meti.go.jp/…/jigyo…/pdf/summary.pdf…
事前に告知されていた内容に大きな変化はなかった、という印象です。
この補助金は中小企業・中堅企業向けのものですが、本稿では中小企業向けの内容に絞って、その概要や特筆事項、注意点などについてご案内したいと思います。

【3月公募・公募期間1ヶ月】

併せて公開/更新されている「よくあるお問い合わせ」(FAQ)をみると、公募開始は令和3年3月。「1か月程度の公募期間」とされています。
https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/qa.html
まだ公募要領や「事業再構築指針」(後述)も公表されておらず、初めてリリースされる補助金なのに準備期間が短い!という印象です。
ただ、FAQには「公募は1回ではなく、令和3年度に複数回実施する予定です」と書かれており、次回以降の公募をターゲットとする戦略も考えられます。
なお、「事業再構築指針」は公募開始前に、公募要領は公募開始と同時に、それぞれ公表されるとのことです。

【申請要件】

この補助金を申請できる企業の要件としては、「コロナ禍で売上が減っている」「新分野への展開や業態転換のための投資計画がある」中小企業です。
売上減少要件は「通常枠」「特別枠」という二つの申請枠(後述)によって異なりますが、要するに減少度合いが深刻なのが「特別枠」要件です。
通常枠:直近6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高がコロナ前の同期間の売上高と比較して10%以上減少している
特別枠:令和3年1~3月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以上減少
「新分野への展開や業態転換」に関しては、未公開の「事業再構築指針」にその定義が示されるはずで現時点では詳細不明ですが、「概要」の13ページ以降に「事業再構築の事例」が掲載されており、自社で構想している投資計画を照らし合わせることができます。

【通常枠と特別枠】

通常枠と特別枠についてもう少し詳しく見ていきましょう。
いわゆる中小企業(中小企業基本法に定義される中小企業。大雑把ですが「ウチは中小企業だろう」と思っていらっしゃる会社はたいてい大丈夫ですが、念のためご確認ください)における通常枠は、補助額が100万円~60百万円。補助率は2/3です。
つまり、90百万円の投資計画の場合、その2/3の60百万円の補助金が交付されるということ。
一方、特別枠は、正確には「緊急事態宣言特別枠」と言われ、前述のようにコロナ禍でより深刻な打撃を受けた事業者に対し、より高い補助率(3/4)で、15百万円までの補助金が出ます。(従業員数によって上限金額が異なるので注意。詳しくは「概要」ご参照ください)
仮に、特別枠で申請して不採択となった場合でも通常枠で再審査され、「加点措置」つまり下駄を履かせてもらって採択される可能性が高いようです。
申請要件に当てはまり、投資総額が小さめの事業者は、まずは特別枠で申請するのが良さそうです。

【対象経費】

この補助金の特徴の一つは、補助金の対象となる経費の範囲の広さです。
一般的には対象経費にはなり難い建物の建築費/改修費が「主要経費」として、設備費/システム購入費などと共に挙げられています。
また、宣伝広告・販促費も「関連経費」に挙げられていることも注目して良いと思います。
ただ、人件費やPC/車両など汎用品の購入費、不動産などの購入費は対象外。
つまり、業態転換で新たに土地を買って工場を建てて、営業車とPCを揃えて事業を始めても、補助金が出るのは建物代だけ、ということになります。

【認定支援機関】

認定支援とは、正確には「認定経営革新等支援機関」と言い、全国で3万以上の金融機関や税理士、中小企業診断士等が認定を受けています。
昨今の補助金では、申請にあたり認定支援機関が果たす役割がやや弱まってきている傾向があった印象ですが、本補助金では「認定支援機関と事業計画を策定する」とバッチリ明記されています。
この方々を疎かにはできません。また、補助金額が30百万円以上の場合は金融機関が参加することを求められています。
実務的には多くの金融機関が認定支援機関を兼ねているため、また、補助金が交付されるまでのつなぎ融資を受ける必要もあるため、金融機関の関与は必須と言って良いでしょう。
一方で、「認定支援機関と事業計画を策定する」とは具体的にどのような実務が想定されているか?が現時点でははっきりしません。
金融機関は認定支援機関ではあっても、実務上、計画策定に十分な関与ができるだけの時間やノウハウはないと考えた方が良く、実際には会計士や中小企業診断士、コンサルタントなどの補助金申請の業務に慣れた専門家の支援を受けて策定した事業計画を金融機関に持ち込み、「認定支援機関」としての関与を受けた形式(何らかの書式に「ハンコ」をもらう等)を整える、ことになるのでは?と推測しています。
このあたりは今後公表される公募要領の定めに従うことになると思います。

【GビズID】

正確には「GビズIDプライムアカウント」と言います。昨今の補助金の多くは電子申請で受け付けられており、jGrantsという電子申請システムを利用するためにはGビズIDを取得する必要があります。
ID取得には書類を作成して郵送する必要があるため2~3週間を要します。
一度取得してしまえば、今回の公募以外でも他の補助金でも使いまわしが利くため、公募前の今から取得に動かれることをお奨めします。

【戦略とToDo】

ここまで、事業再構築補助金の概要についてご案内してきましたが、では、とりあえずどんな方針で、まずは何から手をつければいいのでしょうか?
一般論として補助金は、公募回数を重ねるほどに採択率が悪くなり、「通り難くなる」と言われています。
さらにコロナ禍の中で特別枠まで設けられてスタートした本補助金は、補助金が生まれ落ちたその背景からして「当初は採択され易いのではないか?」という声をよく聞きます。
確かにそれはそれで一理ある意見ですが、とは言えちゃんとした根拠のあるハナシではありません。
「事業再構築」と銘打たれている以上、その定義に沿った事業計画/投資計画が必要です。
「事業再構築指針」が公表されておらず、「事業再構築の定義」が現時点では判明していない現時点では、前述の「事業再構築の事例」を参考にしつつ、まずは自社で構想している事業計画/投資計画をじっくり煮詰めていくことが大切です。
また、申請書に書き込む計画内容のレベルも、(交付される補助金の額から推測して)少なくとも中小企業向け補助金の定番ともいえる「ものづくり補助金」のそれと同じ水準が求められると考えて良いと思います。
そのレベルの計画書が書けるリソース/ノウハウが自社にあるか?ということも留意点です。
これらに目配りしつつ、今の時点でやれることを着実にやっていくことが大切です。
具体的には、①GビズIDの取得②「事業再構築指針」が公表され次第、その内容を咀嚼し、自社の計画と照合してみる③公募要領が公表され次第、内容をしっかり読み込んでその時点でのToDoを確認する。etc.ということでしょう。
こうした作業を通して、自社の事業/投資の構想が今回の補助金に適合しているのか?申請までに足りないリソースは何か?どんな認定支援機関とどのタイミングで接触すればいいのか?などが見えてくると思います。
これらの見極めをしっかり行ないながら、着実に準備を進められるのが補助金申請の定跡と言えます。
こうした周到な準備の結果、仮に3月の公募期限に間に合わなくとも、次回/次々回の公募をターゲットにして構想をより洗練して計画に落し込み、よりベターな書類を仕上げて申請することが、最終的にはより充実した事業展開につながっていくのではないでしょうか?
拙速になることなく、一歩々々着実に進めていくことが大切と考えます。
(この稿おわり)

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